


…おはよう、こんな早い時間に起きるのは久しぶりだから、つま先だけ夢の中に残しているような気分…





プロデューサー、今日のサイン会は… ああ、幻燈社の新刊の発売日だったよね
発売予定日、すっかり忘れてた…





私の外側で形を成した物語は、形を得て、帰ってくるまで遠くなりがち
でも、サイン会は楽しみにしてたの





…今あなた、とても変な顔をしてる
私がサイン会を嫌がらないのは、そんなにおかしなこと?





…確かに人がたくさんいる場所はあまり得意ではないけれど、サイン会とライブ会場だけは別





だってそこで出会う人たちは、私が書いた物語を知りたがってくれた人。私からあふれた言葉を受け取ってくれた人





ここは私の物語を愛してくれる人たちの言葉に触れる、奇跡のような場所だから…… 嫌いではないの…





それより…あなたの物語に登場する私は、ひとが嫌いで偏屈で気難しいの?
まるで硬い殻に閉じこもる貝のように?





…謝るのはどうして? 私、怒ってない
自分の認識とは違った自分が、あなたの中に生まれたのは、なんだか面白い……





…私の目に映ったあなたの物語は、もっと時間があるときに教えてあげるね
…行こう、みんなが待ってるよ…


