そう学園長が言うと、どこからともなくティーポットと二個のカップ、ソーサーがふよふよと浮いてきて、静かに音を殆ど立てず机の上へと置かれた。
 そしてカップが俺と学園長の前に移動した後、ポットがゆっくりと円を描くようにしてカップへお茶を注いでいく。
 なんだこれ?
 まるで見えない何かがカップを持って来たかのようだった。
 でも気配は何も感じないし、おそらく学園長が何らかの魔術を発動したのだろう。
 しかしティーポットの中にはもちろんお茶が入っている。それをこぼさないよう静かに着地させるなんて芸当、相当繊細な魔術制御が必要だ。
 しかもポット以外に、カップとソーサーが二個ずつあるのだ。
 これだけの魔術を難なく、しかも俺に気づかれず発動させるなんて。
 きっと俺なら着地させる際、制御に失敗してがちゃんと音を立ててしまうか、中に入っているお茶をこぼしてしまうだろう。
 さすが賢者シャローニクスの一番弟子。大陸最高峰の魔術学園の長という肩書きは伊達ではない。
 
           
             
                 
                  

 
        


 
          
          













 




 
      