おすわりの姿勢の犬のちょんと並べた大きな足の上に腰掛けて。
犬をしたから見上げながらにんげんは聞きました。



ねえ犬。


おすわりの姿勢の犬のちょんと並べた大きな足の上に腰掛けて。
犬をしたから見上げながらにんげんは聞きました。



どうしたにんげん。





犬はさ、なんで犬なんだろうね?


にんげんは時々不思議なことを言い出します。
犬は今回はどんな問いかけだろうと続きを促します。



犬は、なんで犬とは?





えっとね、猫の兄には兄って付けるじゃない?
犬も兄なのになんで私は犬に兄ってつけないんだろって思ったの。





なるほど。たしかに不思議だな。


にんげんののんきな問いに犬は静かに考え込みます。
そして鳥の鳴き声が二度三度と響いてから、ゆっくりと口を開きました。



兄だが、ほかの兄よりずっと身近で、一緒にいる。
心安い関係だからじゃないか?





心安いって?





気を使わなくていいほど仲良しということだ。


犬の言葉ににんげんはぱあっと顔を輝かせるように笑います。



やったあ!私犬と仲良しだ!





ん。いい事だな。


犬は喜ぶにんげんの頭を鼻先で探ります。
にんげんがよろけないように、優しく、とても優しく。
