温泉をひとしきり満足した僕らは、帰路につく。



おにぃさんたちはこれからどうするの?


温泉をひとしきり満足した僕らは、帰路につく。



そうだねー、レオン次第だけど、早くイルランへ戻らないととは思ってるよ





ずっとここにいればいいのに!





そうだよー!





ありがと。でも僕の友達と、悪者をやっつけにいかないとダメなんだ





わるもの?





うん。僕らは今、黒い魔法使いを追いかけてて





黒い魔法使い?





そういやさっき裏山で見かけたような?





ここにいるの!?





シェリー! まさか!





レオンたんがこの村の出身で、ここで攫われたとしたら……戻って来ててもおかしくないかも!





ご案内しましょうか?





でも僕らだけじゃ危ないよ! とりあえずシンのところへ帰ろう!





ちょっとだけ、見にいきましょうよ! 人違いかもしれないし





まあ、そうだけど……ヤバかったらすぐ逃げるからね!





はい!


そして僕らはまだ寝ていたレオンとラファエルを連れ、ケモ耳っ娘たちが黒い魔術師を見かけたという場所へ向かった。
ケモ耳っ娘たちはもう寝る時間なので、僕とラファエル、そしてシェリーとレオンの四人で向かう。
山の頂上付近にある小屋。
そのあたりで見かけたそうな。



あの小屋じゃないかな……


そのときだった。



にゃ(誰かいるわ)





やばい! かくれて!


黒いローブを纏った人間が小屋から出てきたのだ。



どうしたの?





レオンたん! 早くこっちへ!





誰もいないよ?





何いってんだ! あそこに!


黒ローブの人はこちらに気付き、フードを外した。



……レオン?


その人は青白く輝くような髪をした長身の女性だった。



黒の魔術師……ではない?





人違いのようね……





二人とも何言ってるの?





レオン? あのひとが見えないの?





へ? どこ?





……


そして黒装束の女性は、レオンの姿に少し驚いたような顔を見せ、小屋の中へと入っていった。



拓雄さん、どうする?





とりあえず、僕らが追ってる黒の魔術師ではなさそうだけど……





レオンたんの事を知ってる風だったし。行ってみましょうよ


そして僕らは小屋の戸を叩く。



……はい


出てきたのは、さっきの綺麗な女性。



あの、ちょっとお話よろしいですか?





……どうぞ


そういって彼女は、僕らを小屋の中へ案内した。
なにかの研究をしているのだろうか。
元の世界でいう、理科室に置いてありそうなものがいっぱい。



……レオン


女性はレオンを見て呟く。



レオンのこと、ご存じなんですか?





……ええ





あたしはシャーロットと申します。グラン王国の者です





僕は拓雄といいます。この猫はラファエル





私は……マリ





シェリーお姉ちゃん? 誰と話してるの?





レオン、この人が本当に見えないのかい?


レオンはきょろきょろと辺りを見回す。



? だれもいないよ?





無駄ですわ。私には呪いがかかっているから……





の、呪い?


そして彼女は、レオンと……レオンの妹エメの、昔話を話し出した。
