呆然としているマスターに向かいハルトがいった。



マスター、早くレイコさんに電話しないと


呆然としているマスターに向かいハルトがいった。



ああ、そうだな、レイコのケイタイに電話してみよう


マスターは、ヤマサキに携帯を返すと、カウンターの奥に入り自分の携帯でレイコに電話した。



もしもし、オレだよ、今どこにいる?





ああ、ごめん、遅くなって。そうねえ、もう少しで駅前。あと十分くらいで帰りつくと思うわ





待て、まだ帰ってくるな!





どうしたのパパ? 急に





いや、今は理由を話してる暇がない。取りあえず駅で待っててくれ。すぐに迎えにいくから





一体なんなの? もう、なんだか分かんないけど、いいわ。じゃあ、駅前広場の噴水のところで待ってるね





わかった、車ですぐに行くから絶対にそこを動かないでくれよ!


マスターは電話を切ると、壁の時計を見上げた。
午後九時二四分。



マスター、オレも一緒に行くよ





うん。ごめん、悪いけど一緒に来てくれるか、ハル


マスターはジーンズの尻のポケットから車のキーを取り出しながら、



カジさんと先生は留守番たのみます





わかったよ、マスター、気をつけて。オレは先生と店番しとくよ、どうせ客なんて来ないだろうけど、ねえ先生?





うん、るすばんしとくよ、ちょっとトイレに行ってから





またですか? 先生…… 頼みますよ!


ヤマサキはトイレに入ってしまった。



じゃあ、ごめんカジさん、すぐに戻から、棚のボトルは適当に飲んでていいよ


