甲信越地方の奥深く
自衛隊駐屯地のある都市『こしのくに』
甲信越地方の奥深く
自衛隊駐屯地のある都市『こしのくに』



特A級 非常事態発生





こしのくにシティのすべての施設を封鎖、放棄せよ





バイオ・テロの疑いあり。都市を完全封鎖


そして9時間後。
今や甲信越最大の都市は、地獄と化していた……。



くそうっ! ヤツら、ゾンビのようにどんどんわいてくるぞ!!





うん。だけど、まるでゾンビのようにゆっくりだよ





気をつけなさい立花さん。吸われると彼女たちのようになってしまうわよ





先生っ、あの、後ろに





よそ見をするんじゃありません。こんなときでも、いえ、こんなときだからこそ、こしのくに中学の生徒として恥ずかしくない態度をですね





じゃなくて後ろっ、先生危ないっ





かぷっ


先生は後ろから抱きつかれて、首筋を吸われた。
すると、ひどくみだらな感じになった。



やばい、早く逃げないとっ! みんな痴女(ちじょ)になっちゃうよ!!





いやっ





?





女子が痴女になるというのは、よく考えてみれば、むしろ良いことなんじゃないか?





あっ


男子の表情がいっせいに変わった。
それから、ぐいぐいと女子を押しはじめた。



ちょっと止めてよっ





うるせえ





やっ、やめなさいよっ





うっせえ





みんな止めないかッ!


クラス委員の宇野くんが止めに入った。
だけど宇野くんは突き飛ばされて、ヤツらの足もとに転がった。
ヤツらが宇野くんに襲いかかった。



うふぅ~ん





げえ、宇野が痴女にィ!?





女体化すんのかよ





すべてがっ、すべてが痴女になる……


私たちは絶句した。
しばし呆然と立ちつくした。
そしてしばらくの後。



みんな、しっかりしようよッ!


私たちはクラス一丸となって、学校からの脱出を試みた。
だけど、ひとり、またひとりと痴女になり、校門にたどりついたころにはもう、クラスメイトは数えるほどしか残っていなかった。
そして最悪なことに、校門の外にはたくさんの痴女があふれていた。



くらえッ! この #$%@ 女ッ!





もう、生きて出られそうにないよう





だよね。でも……ただじゃ痴女にならないわよ。来なさい! この、くされビッチども!!


いよいよ私たちが覚悟を決めた、そのときだった。
背後から、まばゆい光が放たれた。
それは私たちの頭上を飛び越え、痴女の真ん中に落下した。
その爆発で痴女は無力化した。



………………


おそるおそる振り返ってみた。
するとそこには、三人の女性が立っていた。



私は、CIA工作員のフライドポテト





ウナギゼリー、MI6のウナギゼリーだ





KGBのウオッカ。ここから脱出するわよ





えっ!?





痴女の演技をすれば襲われない。自衛隊駐屯地まで行けるだろう





そこに行けばヘリか飛行機で逃げられる


私があえぐように言うと、彼女たちはニヤリと笑った。
それから私の手を引き、こう言った。



Let's start!! 痴女の時間よ


