ここは新宿、時は現代。細い路地裏を通った人知れぬ場所に、一つの喫茶店がありました。そこで開かれるのは秘密のお茶会、会員制。今日も気ままに気心知れた、現代を生きる伝説の人たちが集まったようです。
ここは新宿、時は現代。細い路地裏を通った人知れぬ場所に、一つの喫茶店がありました。そこで開かれるのは秘密のお茶会、会員制。今日も気ままに気心知れた、現代を生きる伝説の人たちが集まったようです。



なあ浦島





なんだい桃太郎君


いつものお決まりとなったカウンター席にならび桃太郎が話しかけてきます。



実は折り入ってお願いがあるんだけどさ





無理





なんでだよ!?


しかし、まだ内容も言ってないのに断られてしまいました。悔しいのか桃太郎は怒鳴ります。



なんでまだなにも言ってないのに無理とか言うんだよ





いや、分かるもん。絶対決まってるよ





なんだよそれー、それじゃ俺が単純みたいじゃねえか。じゃあ賭けようぜ。お前の読みが外れてたらお前は俺の頼みを聞く。もし当たってればこの場で腕立て百回してやるよ


桃太郎は自信満々に言います。当てられるものなら当ててみろ。さすがは鬼を退治した桃太郎、そのまま金品を巻き上げ懐にしまった桃太郎、鬼退治をきび団子で労働させたブラック桃太郎。



ほら、ほら、答えてみろよ


脅迫まがいの言い方も様になってます。
対して浦島が言いました。



お金を貸して欲しいんでしょ?





・・・・・・


そう言われると、桃太郎は静かに席を立ち、その場で腕立てを始めました。



なになに、あんたらまたしょうもないことしてるわね~


そこへかぐや姫登場。着替えるのが大変そうな和服に身を包みカウンター席に座ります。相変わらずの桃太郎に呆れ気味です。



桃太郎あんたも働きなさいよ、いい年して無職なんて恥ずかしいわよ。桃太郎の話が出来てから何年経ってるのよ





お前に言われたくねーよ!





かぐやさんに言われたくないよ


そこへ桃太郎と浦島の声がハモる!



日本最古の昔話のてめえが一番無職歴長いだろうが! 月にある実家のスネかじりが、てめえも働け!





かぐやさん、いくらなんでもそれはひどいよ。ブーメランだよ





お前もだろうがパチスロニート


さすが桃太郎、すでに腕立て百回を終わらせ席に戻ります。そのまま浦島に言い寄りました。



週5で通い詰めやがって、必殺遊び人かよ





僕はパチプロという立派な職業だよ!





閉店一時間前にAT機回す馬鹿どこにいるんだよ!





ほんとロクな男がいないわ





うるせーよ





うるさいよ


お互いに相手のグチを言い合い、痛いところをチクチクする会話が続きます。これがいつもの光景です。
そんなこんなで話が続いていきますが、ふと桃太郎が思い出しました



そういえば金太郎は? 最近顔見てないな


以前の集まりにも金太郎はいませんでした。桃太郎は周りを見渡してみますが姿は見えません。
それで金太郎のことを知っていたかぐや姫が言いました。



ああ、あいつフェ●ト・グランド●ーダーに出演が決まって忙しいってさ





なにぃいいい!


ま・さ・か・の・大出世!



ふざっけんなよあいつ!


桃太郎激オコ!



なんであいつがフェイ●デビューなんだよ、俺だろ普通! なにがSSRよ、ふざっけんな!





桃太郎、嫉妬みっともないわよ





でもあいつがだぜ? フルチンで警察に職質されるあの馬鹿がしかもSSRとか、1%の壁を突破して出した人が不憫過ぎるわ


ちなみに私は呼符で出ました(by作者)。



まあ、私なら萎えるわ





僕も


絶賛稼働中の●ェイト●ランドオーダーで活躍中の本人を知っている三人からため息がこぼれます。



金ぴかなもんぶら下げて、なにがゴールデンかて。あいつは金ピカに憧れてんのか





いや、でも交渉はしたらしいわよ? 出演のオファーがきた際「いや、これぜんぜん僕のキャラじゃないんですけど?」って。そしたらプロデューサーの庄●って人が「大丈夫大丈夫、君は凶化されてる設定だから、キャラがぶれてても大丈夫だよ」って





なんだそれ!


注意。本作の勝手な設定でありフィクションです。
同僚のフェイ●デビューに触発されてか、桃太郎がしゃべります。



でもマジでさ、そろそろ俺くるんじゃねえの? いやマジで


数ある日本昔話の中でも超が付くほどの有名人。日本人なら知らぬ者はいない桃太郎ならあり得ない話ではないでしょう。
フェ●ト・グラン●オーダー出演に胸を膨らませます。



まあ、あんたはあるかもね。一応日本昔ばなしじゃ一番のメジャーヒーローだし





当然よ、絶対俺にもオファーくるわ。SSRだわ


そこで浦島が言いました。



たぶん女化するんじゃない?





なにぃいいいい!


ま・さ・か・の・予想外!



マジで!? ふざっけんなよおい!


桃太郎席を立つ!



うーわ最悪! なんで女になって剣振るわないとならないんだ!? でもあり得そうなのが超コエー





でもさ、桃太郎が実は女だったっていう伝承自体はあるわしいわよ?





はあ? どこだよそんなわけわかんねーこと言ってるのは





あ、桃太郎君。今ググったら出てきたよ


浦島はスマホを片手に操作していると読み上げます。



生まれてきたのがかわいい女の子だったため、このままでは鬼に連れ去られるのを恐れたおじいさんとおばあさんは桃太郎と男の名前を付けたってさ。ぜんぜんいける設定じゃん、アーサー王よりよっぽど説得力あるよ





知るかんなもん、俺は男だ


仕事は欲しいが中身を変えられるのは嫌な複雑な心境です。いろいろ不安はありますがでもやっぱり仕事は欲しいそうです。



マジでフェ●トのプロデューサー、俺に話持ってきて欲しいわ。めちゃ頑張るし。サーヴァントになって今度は世界を救うわ





じゃあ僕も





お前はくんな!





あんたはくんな!


浦島がそっと手を挙げたのを二人が否定しました。



亀をいじめる子供を追い払うくらいしか出来ないお前がなにすんだよ


桃太郎は戦力不足を指摘しますが浦島は自信満々に反論します。



いやいや、僕だっていけるよ。サーヴァントといえば宝具じゃん。それで僕といえばそう、玉手箱さ。これを使えば相手はよぼよぼ、弱体化さ~





それお前もなってるよ!





それあんたもなってるよ!





え?


自信満々に言う説明を二人で否定する!



お前もよぼよぼだわ! 味方構わず全員よぼよぼだろうが





あ


言われて気づいたのか浦島は呆然としています。



そもそもなんでお前青年なの? 玉手箱でおじいさんになったんじゃねえのかよ





そうよ浦島、あんたぜんぜん普通じゃん、どうっしたのよそれ?


ここにいる浦島は青年の姿です。浦島太郎の物語では最後おじいさんのはずですがここにいる浦島は青年の姿です。



ああこれ?


浦島は自分を指さします。



なに言ってるんだよ二人とも。よく考えてごらん。この中で一人だけ白髪のおじいちゃんなんかがいたら絵面的に不自然だろ? だから作者が気を使って青年にしてくれたんだよ





どーいうことだよ!? お前の宝具ラック判定でもあんのか!


よかれと思ってやっておきました(By作者)。



ほんと使えねーなお前





浦島、あんた星1決定ね、かわいそうに





なんだよなんだよ二人そろって僕をいじめてさ! それに桃太郎君はともかくかぐやさんに言われたくないよ、かぐやさんなんてなんも出来ないじゃん!





そんなことないわよ


浦島からの反論にしかしかぐや姫はしれっと言い放ちます。その後人差し指をあごに当て考え出しました。



そうねー、私がサーヴァント化したらきっとこうね


かぐや姫は自分の予想を語り始めました。
フェイ●・●ランドオーダーの戦闘画面、そこでメーターがたまったかぐや姫が宝具を発動します。
かぐや姫は携帯を取り出し話し始めました。



あ、もしもしパパ? 今から使うから用意して~


そう言うと月が自転を行い、月の裏側が地球に向きました。そこには超巨大な掃射砲があり、太陽のエネルギーを充填していきます。
そして、地上でかぐや姫が言います。



あなたに力を


充填を完了した掃射砲から輝く光が――



待て待て待て!


そこで桃太郎が話を止めました!



おい





なによ


桃太郎がかぐや姫に言います。



それと似てるの俺知ってるわ





うん、僕も知ってる


浦島も援護射撃します。



もうめちゃくちゃじゃん。月の民だからってなんでもありじゃねえぞ。どうなってんだ月の民の常識、そんなんだから空気読めないんだよ





なによ、ジ●リのこと言ってんの?


桃太郎から実家のことをいじられるかぐや姫ですがふんと鼻で一蹴すると強気に言い出しました。



あんたたち無職は金がなくてひがんでんのよ。私はジ●リデビュー果たしてお金持ってるぅう





うぜえ





でもかぐやさんお金の使い道あるの? なんか前と服装は変わってないみたいだけど?


そう浦島が聞くとかぐや姫は黙り込んでしまいました。



・・・かぐやさん?





おいどうしたかぐや、聞いてるぞ?





・・・られた





は? 聞こえん


かぐや姫は俯いていた顔を上げ叫びました。



振込先がいつの間にか両親の口座になってて出演料ぜんぶ取られた~! 自由に使いたくても使えない~!





え、かぐやさん小学生のお年玉ですか?





ハッハッハッハッハ! ざまあ~





うるさーい!


カウンター席に二人の笑い声と一人の悔しそうな声が響き渡りました。
ここは新宿、時は現代。細い路地裏を通った人知れぬ場所に、一つの喫茶店がありました。そこで開かれるのは秘密のお茶会、会員制。今日も気ままに気心知れた、現代を生きる伝説の人たちが集まったようです。
なお、現代では低俗な模様。
