


兄さん、ふと疑問に思ったのだが





なんだ?





我々は一体何語で話しているのだろうか





?
ヘブライ語だろう





確かに、私としてはヘブライ語を話しているつもりだし、兄さんがヘブライ語を話しているのもわかる。
しかしどうしても疑問になってしまったんだ





何故だ





先日日本の神と会ったのだが、そう言えば言語で困った事が無いなと思って。
彼らが話しているのはどう考えてもヘブライ語では無い。
しかし、こちらの話が通じるし向こうの話もわかる。
それが不思議なんだ





なるほど、今まで疑問に思った事は無かったが、どこの地域の神々と話しても、言葉で困る事は無かったな





人間達は言葉が変わると意思疎通が出来なくなるそうではないか。
それを聞いて疑問になってな





ふむ。
もしかしたらの話ではあるが、お前は『言霊』と言う物を知っているか?





なんだそれは





言葉に宿る力のような物だ。
我々は人間に比べ、精神性の高い存在だ。
だから、言葉の響きでは無く言葉の力を直接伝えやすく、また感じやすいのでは無いだろうか





なるほど。そう言う事か





言葉には力が有るから、父なる神の名を口にする事は禁忌とされたのだろう





言われてみれば、我等の神の名は他の神も口にしないな。
彼らは普段、父なる神をなんと呼んでいるのだろう……





『名無し』とか『Anonymous』とか『四文字』とか適当に呼んで居るぞ





よし、今度その現場に遭遇したら殴ろう


