


お嬢様。闇苺のシフォンケーキでございます。





そういえば、このケーキはメイドが作っているのよね?





僭越ながら私が作らせていただいています。





あははっ。
面白いジョークだったわ。
貴方いつも私の傍にいるじゃない。
メイドが運んでくるお菓子をどうやって貴方が作るのよ。





それは。





このように。





へ?





分体でございます。
高位悪魔や天使ならば普通に行う行動ですよ。





ただいまもお嬢様のお食事を作る私。
お嬢様の服を洗う私。
政務を行う私。
その他多数の私が各地に散ってそれぞれうごいております。





貴方、そういうところ本当に疫病みたいな広がり方ね。





高位存在なら普通のことでございますよ。





その通り。いたって普通のこと。
まぁ……。





人間のお嬢様には異界が上がっても無理ですが。
存在の性質が違いますから。





……この美味しいお菓子がデーミック作だったことが一番の驚きね。


