そうですか、良かった。じゃあ、友人に連絡しておきますね

お願いします

じゃあ、私もお見舞いに行こうかな

え？

すいません！何でもないです。
ではその友人の連絡先を真さんにも教えておきますね。吉村貴子といいます

あ、はい。何から何まですいませんホント。ありがとうございます。では

えーっと、愛真さんでよろしいですか？

はい、はじめまして

はじめまして。遅れて申し訳ありませんでした。私、株式会社フラワーシチュエーション営業部の吉村貴子と申します

よろしくお願いします

すいません、今仕事用の名刺しか持ち合わせていないんですけれども

あ、結構ですよ。咲から連絡先は聞いてますし。花園さんでしたっけ？

ややこしくてすいません。

で、どんな人だったのよ？

うん、愛真さんていってね、すごくやさしくて紳士的で話も面白くて、いい人なの

…どうして一回あっただけで“すごくやさしくて紳士的”ってわかるの？

え？どうしてってそれは…

ちょっと頭の良い男なら一回くらい演じられるわよ。あー、よかったあの時電話で呼び出して。咲、きっと今頃ヤラれて捨てられてたわよ

なんでそういう事言うの？

他にどこか不信な点は無かった？

何？今日の貴子、なんだか怖い

そんなのいいから。何か無かった？あったでしょう？言って

…名前がちょっと

名前？

ネームプレートと名刺には花園為五郎って名前を使ってて…あ、でも仕事用って言ってたよ？

はい出ましたー。やっぱりそいつアンタの事冷やかしに来たんだよ！咲、見るからに純粋そうだからそこに付け込んで…

やめて！ちょっとさっきからなんなの？

だって今の咲、内海に出会った頃とまるで一緒なんだもの。またいいようにヤラれて、金巻き上げられて終わりよ

あの頃と今の私は違う。第一、貴子言ってる事おかしいよ。新しい恋しろって言っていざその気になったら止めに入って…矛盾してるのよ！昔から

咲、ちょっと待ちなさいよ

話す事なんて無い

やっぱりまただ…あの日のあの目だ