青い宝石は困ったように笑う。



二点あります。
ひとつは、あなたのダミーと話したときのことです。
あなたのダミーは、俺を見て、魔法の香りがする、死の香りがするって言いました。どういうことですか?





そのまま


青い宝石は困ったように笑う。



あなたは本当に魔法が使えないの?
魔法の香りもする。死の香りは、優しい香りだよ。
怖いものじゃないから、大丈夫





大丈夫って……俺は死にそうってことですか?





違う。守られてるってこと





守られている?





もしかして私のことでしょうか


サンザシが不満げに言う。



見えない私は、この世界では死んだもの見たいな扱いを受けているような気がします


なるほど、そういうことか。



守護霊みたいな?





そう、そういうこと


俺は笑いそうになる。
なるほど、死の香りだなんていうから何事かと思ったが、なんのことはない、サンザシのことを言っていたのだ。



なるほど、納得。超強い守護霊がついてるって言われたことがあるんです





誉めないでくださいよ


誉めてないんだけどね! からかったんだけどね!
青い宝石が優しく微笑んで、幸せそうだと言う。



幸せそう。優しい香りがする。きっと、あなたに感謝してるんだね





……感謝してる





崇様、深追いしないでくださいますか


照れているのか、それとも過去に関わってくるのか。
気になるところではあったが、サンザシがやめろというなら、やめるべきだ。



ありがとうございます。
それと、もうひとつ。魔王の物語を知っていますか?





魔王の物語?


青い宝石は首をかしげる。



知ってる、けど覚えていない。
すごく昔に聞いた童話に、あった気がする。
人を生き返らせちゃダメ、って教訓の物語じゃなかったっけ





なるほど……だれから聞いたかは、覚えていますか?





魔法の家で教えてもらった、先生に。
でも、なんで?





……いえ、少しだけ、気になっていることで、みんなに聞いて回ってるんです





ふうん


情報収集はここまで。



すみません、突然いろいろと。もう大丈夫です





うん、じゃあ戻ろう





あ、えっと、すぐに戻ります


青い宝石は目を丸くして、困ったように首をかしげる。



どうして嘘をつくの?


