smoking
in
the
rhythm
smoking
in
the
rhythm
第一話
煙草と出会いのリズム
雨の降る秋葉原電気街口。
人目を避けるように喫煙スペースに入るスーツ姿の梅田雄一朗はポケットからショートホープとライターを取り出したが、湿気のせいか火が付かない。
イライラに先に火がついて、ライターを床に叩きつけようと振り上げた隙間を、メイド服姿の流川リナのハート型ライターが滑り込んできた。



あ、おおきに





いーえ


ポケットからたばこ“わかば”を取り出すリナ。ちょっと吹き出す梅田。リナ、ハッと梅田を見る。



何か?





いやすんません。見掛けによらずごっついの吸いよるなあ思うて。ギャップ萌えってヤツですわ





あはは。お恥ずかしいですー





今日はようけ降りますねえ。ビラ配りもしんどいでしょ?いつもあのガード下で配ってはりますよねえ?





ありがとうございます。お散歩っていうんですよ。今もリナはお散歩中です





?ああ、そういう事!徹してますねー。おもろいなあ、今度遊びに行こうかな。一回も遊びに行った事ないんすよねー、メイド喫茶って





今からでもよろしければお茶しませんか?今、休憩時間ですよね?





え?





よくお散歩中にお見かけしてましたー。14時00分にここに入る。14時1分00秒、ショートホープに火をつける。そして14時11分00秒、フィルター燃えそうなギリギリまで吸って火を消し、ここを出る。その正確さにリナ、ずっと見とれてましたー





ほお、光栄ですわ。こんなべっぴんさんに張り込みされとったとはね。これは断る手は無いなあ


タバコの火を消す梅田。



今ので5分ジャスト。ボクのお昼休憩残り54分ですわ。おうてます?


懐中時計をポケットから出すリナ。針は14時05分をピッタリ差している。



はい、ご主人様。すごいです





よっしゃ、絶好調!ほな、いきましょか





かしこまりました、ご主人様


タバコの火を消すリナ。



これで私も5分ジャストですよね?


梅田も時計を見ると、その通り5分ジャストだった。



ほう。なかなかのお手前で


そして梅田はリナに連れられて、彼女たちのメイド喫茶…
もといい、
魔法の国〈リトルメイドリーマー〉へと“帰宅”していくのであった。
next to go...
