昔々、ある国に、絶妙に微妙な顔をした、お妃様が住んでおりました。お妃様は、真実を語るという魔法の鏡に向かって、毎日毎日、同調圧力をかけているのでした。
昔々、ある国に、絶妙に微妙な顔をした、お妃様が住んでおりました。お妃様は、真実を語るという魔法の鏡に向かって、毎日毎日、同調圧力をかけているのでした。



鏡よ鏡、この世で1番美しいのはだあれ?





全盛期のヒロスエ





お前のタイプは聞いてない





(Take2)鏡よ鏡、この世で1番美しいのはだあれ?





オキサキ様デース





本気出して!!もっと心の底から言って!!!





1番美しいとなると個々人の好みの問題もありまず初めに美しさとは何かという判断基準をしっかり定義し…





本気出すって、そういうことじゃねえよ!!!!!!!!!





(Take3)鏡よ鏡、この世で1番美しいのはだあれ…





…それは、内面がってこと?それとも、外見がってこと?





あ…じゃ、内面で♥





お妃様の内臓





物理的な話じゃなくて!!!何?見た?見たの?知ってんの!?私の内蔵





(Take4)鏡よ鏡、この世で1番美しいのはだあれ…?





お妃様が…





えっ…?





…スマホでこっそり何度も自撮りしてた中の奇跡の1枚…の顔





ギィャアーーーーーーーーーッ





(Take5)鏡よ鏡、この世で一番美しいのはだあれ…?





相川啓太さんです





誰ーーーーッ!!!?????





相互フォロワー





そ、相互フォロワー!!???


Take5にして、お妃様の心は折れそうになっていました。するとそこへ、国で一番かわいらしいと評判の、白雪姫がやって来ました。



なにしてゆの?まぜてーー!





あ、この世で一番カワイイのはあなたです





早いな!!?すごい早かったな今!聞いてもいないうちから!!





えへへ





納得





分かった。分かったわ。もう分かった。お願いだから、しばらく一人にしてちょうだい…。





よし来た!





出てって下さい


魔法の鏡と白雪姫(と相川啓太)は、お城の外へ追い出されてしまいました。
困った魔法の鏡は、自分の実家がある青森へ、8時ちょうどのあずさ二号で帰ることにしました。



なんで?





『狩人』と逃げるシーンだから


魔法の鏡は、昭和生まれにしか通じないボケをかましましたが、案の定、平成生まれの白雪姫には、何を言っているのか分かりませんでした。
一方その頃、お城では。いつまでも帰ってこない2人が心配になってきたお妃様が、探しに出かけることにしたようです。



追い出して悪かったな…。仲直りの印のこれ…、ふたりとも喜んでくれるかな?


お妃様は手に、毒々しい色をした、お手製のアップルパイ(のようなもの)を持っていました。気のせいか、かすかに異臭もしています。
二人の行き先に、なんとなく見当がついていたお妃様は、14:43発の東北新幹線、はやぶさ21号 の新青森駅行きに飛び乗りました。



もしもし。鏡さん?私は今、あなたの後ろにいるの





メリーさん!?


そうして難なく追いついたお妃様は、もじもじしながら言いました。



あのね…このアップルパイね?お詫びに持ってきたんだ…





わーい!食べゆーー!





よしなさい!


魔法の鏡には、どう見ても毒リンゴ的な何かにしか見えませんでしたが、とても断る雰囲気ではありません。



どうしたの?


意を決した魔法の鏡は、口を大きく開けると、ひとのみで平らげてしまいました。



素敵…!


そして次の瞬間、



またこのパターンかよ!!!!!


と叫んだかと思うと、魔法の鏡は仰向けにひっくり返って動かなくなってしまいました。



…えーと…?





寝ちゃったね?ねんねなの?なんで?





あっれぇ…?





どうすゆの?





どうしよう。起こさないと





ホラ!起きて!起きてーー!


白雪姫は、仰向けに寝そべって動かなくなった魔法の鏡に馬乗りになり、ドスンドスンと飛び跳ねました。意識を失いながらも、リズミカルに呻く鏡を見て、お妃様は(これはやっちまったかもしれない)と思いましたが、勢いづいた白雪姫は止まりません。
でもその刺激が気つけになったのか、魔法の鏡は目を覚ましました。
そして、開口一番に言いました。



あれ…?し、7人の小人が見える…





幻覚 見てるーーーーーーーーーー


お妃様は何も聞かなかったことにしました。



とりあえずアレだ、仙台帰ろう


お妃様と白雪姫と魔法の鏡の3人は、新幹線に乗ってお城に帰ることにしました。
すると、はしゃぎ疲れたのでしょう、白雪姫は座席につくなり、ウトウトと眠ってしまいました。



ふふふ…可愛いね





うん…世界一かわいいな





ZZZ…





…あ、あの…、あの…さ…?





ん?


お妃様は、他に乗客がいないことを確認すると、伏せ目がちに言いました。



あ、あのね、ちょっと聞きたいことがあるんだけど…





何?





か、鏡よ鏡よ鏡さん…、ここで、今、起きてる人間の中で、一番、す、好きなのは、だ、だあれ?





え? 俺…かな





あ、ダメだこれ


