ファイナとルーツが話し始めたのを見て、ニケはさり気なく、アルマを連れて距離を取った。



おはようございまーす。





おっ。
来たなー。ニケ。





おはようございます。





ん? 君は?





何言ってんですか。
この子がアルマですよ。
他に居ないでしょう。





……?





……。





……。





……ああ!





君がアルマか!
いや、すまん。
ちょっと昨日まで忙しくてなぁ。
完全に忘れてたわ。すまん。





もうちょっと言い方ないんですか?





今更だろ。
俺は余計な言い回しとかできねーんだ。





改めて、アルマ。
俺はルーツ。よろしくな。
一応、騎士団の分隊長やってんだ。
お前らの訓練も、俺が担当する。





はい。よろしくお願いします。





おう。良い返事だ。
可愛いからって手加減しないからなー。
ちゃんとついてこいよー。





は、はい。





しかし、ニケよ。
やっとお前の仲間が見つかったと思ったら、こんな可愛い子だったとはな。





俺も、こんな可愛い彼女が欲しいねぇ。





また始まった……。





それじゃあルーツさんもいい相手見つければいいじゃないですか。
アステリアさんとかどうですか?
あの人も可愛い顔をしてますし、同じ分隊長ですしお似合いですよ。





馬鹿野郎お前……。
あいつは確かに見てくれは可愛いが、中身は俺より男らしいだろうが。





でもそんなんじゃ彼女なんてできませんよ?
さっさと告白しちゃえばいいじゃないですか。





だからよー。





……アステリアさんじゃなくて、ファイナさんにですよ?





バ、バッカお前……。





私がどうかしたの?





!?





ファ、ファイナさん……っ!?
どうしてここに……?





どうしてって、
今日はアルマちゃんの初訓練の日でしょ?
ちょっと様子を見にね。





ところで、今私の名前が聞こえたけど?
何の話をしていたの?





ア、アルマが到着した日に、ファイナさんに追いかけられたじゃないですか?
ルーツさんの訓練のおかげで、ファイナさんよりも随分と速くなったって話をしたんですよ。





そ、そうそう。
こいつもたくましくなってきましたよね。





なんだ、その話?





もうやめてね。
追いかけるのも大変なんだから。





は、はい。


ファイナとルーツが話し始めたのを見て、ニケはさり気なく、アルマを連れて距離を取った。



?





いや、ビックリしたよ。
まさかファイナさんが来てたなんて。





それより、ほら。
見てごらん。


そう言って、ニケはルーツとファイナを示した。
ファイナは普段通りだが、ルーツは頬を上気させ、言葉もしどろもどろになっている。



分かりやすいだろ?
さっきはあんな事言ってからかってきたくせにね。





へぇ……。





アルマもルーツさんにからかわれることがあったら、ファイナさんの名前を出せば簡単に撃退できるよ。


ルーツとファイナの話はすぐに終わったらしく
ルーツが2人を呼んだ。



今日の訓練だが、ファイナさんが手伝ってくれることになった。





ファイナさん、
戦闘訓練なんてできるんですか?





言ったでしょ?
私も兵士の端くれよ。
基礎を教えることぐらいはできるわ。





まぁ、ファイナさんにはアルマの身体能力の測定をやってもらおうと思っている。
アルマは初日だしな。
……あ、やり方は知ってますか?





大丈夫よ。任せて。
それじゃ、アルマちゃん。
早速だけどこちらに来てくれるかしら?





はい。


ファイナは、アルマを連れて離れていった。



なーんだ。
今日はいつも通りか。





まぁそう気を落とすな。
すぐに一緒に訓練できるようになるだろ。
彼女の能力次第だが。





それもそうですねー。





さて、今日の訓練に移るわけだが。





ニケくん。





はい?





君も訓練を通じて随分とたくましくなった。
新しい仲間も出来て、
より一層気合が入っていることだろう。





というわけで、今日は新しいメニューに挑戦してもらおうか。





……あ……。


