―雌伏の小屋―
―雌伏の小屋―
神託を受け、ソートクは目覚めた



あの神官が言っていた通り、沢山の書類が来ていた





羊皮紙でなく、全部紙で来るとはな……エルエット大教会は相当潤っているらしい





来たものは、『勇者合格通知』と『認定書』





この認定書が手形になるんだったな





それに、『勇者の心得』に『教会機関の利用方法』か……





これは要らないんじゃないか……?





あとは『聖書』と『エルエット大教会入信の勧め』があるが……





これを貰ってどうしろと?





武器が貰えないのは、まあいい理解できる。教会側は聖職者たちだからな。おいそれと刃物を取り扱えないのだろう





だが、実用品が無いというのはどういうことだろうか?





まあ、あまり考えていても仕方ない


神託のことで思うことは一つだった。
顔を洗い、
朝食を食べ、
服を着替え、
荷物を用意する過程で、現状を再確認する。



遂に勇者になれたわけだ。





だが感慨深いかと問われれば、どうということも無くと答えるだろう





勇者になるための拵えが無駄にならなかったことだけを喜べばよい





問題は、これから何をすべきかということだ





勇者という大きな観点で目的を図れば、魔物の根絶になるだろう。





これはどの勇者も第一に考え、行動理念としているものだ





だが





だが、俺は、俺という観点で目的を定めておく必要がある





その目的達成のために、向かう先は近隣の街





訪れるべきは仲間を集められる酒場





誘う仲間は、俺に賛同し、条件を満たす者





俺の勇者に対する考えに賛同するものが果たして現れるか……





いや、今は考えるな。問答や迷いは、己が道を振り返る時にすれば良い!!





無心に進め!! 脇目も振らず!!





心に刻むはまずはこの文字


美・少・女・ハ・ー・レ・ム
そして、ソートクは動き出す。
――……
