僕たちはアンデッド騒ぎのあった
レビー村を出発し、
翌日の昼には関所を越えて
ラート共和国へ入った。
――いよいよ新しい土地だ!
まずは関所から一番近くにある
リパトの町を目指す。
僕たちはアンデッド騒ぎのあった
レビー村を出発し、
翌日の昼には関所を越えて
ラート共和国へ入った。
――いよいよ新しい土地だ!
まずは関所から一番近くにある
リパトの町を目指す。



…………。





どうした、アレス?
深刻そうな顔をして。





うん、だってあの魔族が
いつまた襲ってくるか
分からないから……。





だからといって、
いつもそんな感じでは
疲れてしまうぞ。
大丈夫、私がいる。
もう少し力を抜け。





オイラだっているぞ~♪





ま、タックも見張りくらいの役には
立つだろう。





相変わらずオイラに対しては
ヒドイ扱いだな……。





当然だ。
お前は単なるオマケだからな。





ダメだよ、ミューリエ。
そういうことを言ったら!
レビー村では
タックに助けられた時も
あったでしょ?





う……うむぅ……。





やーい、
アレスに叱られてやんの~☆





うるさいっ!
やはりお前とは気が合わんっ!





あ……。





どうした?





そういえばミューリエ、
ちょっと前からタックのことを
『お前』って呼ぶように
なってたよね?
最初は『貴様』だったのに……。





なっ!?





僕、気付いてたんだけど、
なかなか聞くタイミングが
なくってさ。





へへぇ?
そっかぁ、
少しはオイラのことを
認めてくれてたのかぁ~。





……それは否定せん。
役に立ったのは事実だし、
アレスの信頼もあるようだからな。
だが、認めているといっても
ほんの少しだぞ?





ミューリエ、素直じゃないなぁ!





バカものっ!
アレスまで私をからかうなっ!





あひゃひゃっ!





じゃ、タックも少しはミューリエと
仲良くしてね?





えぇっ?





あまりミューリエを
からかわないこと!
いいね?





……う……うぐ……。
そ……それは……。





あはははっ!
アレスの言うこと、
聞かないわけにはいかんよな?
タック?





ううううう~……。





あはははははっ!


こんな感じで僕たちは街道を歩き続け、
レビー村を出てから約4日で
リパトの町へ到着した。
シアと比べると町の規模は少し小さいけど、
市場の活気はこちらの方があるような気がする。
特に目立つのは
武具や魔法道具などを扱う店の多さだ。



道具屋が多いね?





ここの近くには遺跡が多いし、
武具を作る鍛冶屋や工房が
多いからさ。
それを求めて訪れる
交易商人や冒険者も
多いらしいよ~☆





タックって物知りだね?





まぁな~。オイラだって、
伊達に長く生きてないさっ♪





そういえば、
タックって何歳なの?





400歳くらいかなぁ。
正確にはもう忘れた~♪





えぇっ?
そんなに年上だったのっ!?





あ、別に気を遣わなくていいよ。
だってオイラたちは
一緒に旅をする仲間なんだし。





タック……。





うんっ!





アレス、これからどうする?
すぐに試練の洞窟へ向かうか?





ここを過ぎたら試練の洞窟まで、
町も村もないよ~?





だったら、
少し滞在してお金を稼ごうかな。
そろそろ懐が寒くなってきたし。





そういえばレビー村にいた時、
カネを用意する当てがあるとか
言っていたな?





うん。





オイラはアレスに従うよ。
どこにでも付き合うぜ~。





では、
私は少し街を見に行ってくる。
タック、アレスのことを頼むぞ。





あいよ~☆


こうしてミューリエとは
宿で落ち合う約束をして、
僕とタックは町の青空市場を歩き始めた。



アレス、何か買うのか~?





うん、材料をね。
これだけ大きな市場なら
欲しいもの全て揃うと思うんだ。





材料?


青空市場を歩いていると、
あちこちから活気のいい声が聞こえてくる。
この平和で穏やかな雰囲気が僕は好きだ。
散歩をしているだけで楽しくなってくる。
故郷の村では
月に一度だけこういう市が出たけど、
いつも楽しみだったっけ……。



いらっしゃい、
いらっしゃーい!
何でも安くするよー!
オマケもしちゃうよー!


市場を見て回っていると、
目的のもののいくつかを取り扱っている
店を見つけた。
僕は足を止め、店員のおじさんに声をかける。



すみません。





いらっしゃい!





えーっと、
この薬草とこの薬草、
それからこの薬石を
3つずつください。





毎度っ!





なぁなぁ、おっちゃん!
安くするとかオマケするとか、
何かしらのサービスしろよ~!
さっき大声で言ってただろ~?





はっはっは!
分かってるって!
んじゃ、
この薬草を1束オマケしとくよ!





あはは、ありがとうございます。


その後も何件かで買い物を済ませ、
僕たちは宿へと戻ることにした。
宿にはまだミューリエは戻ってきていない。
夕食の時間まで数時間あるから、
当然なんだけど。
それに僕たちは、
このあともまた出かけるんだけどね。



随分と色々買い込んだな?





タック、
荷物を持ってもらっちゃって
ゴメンね。





気にするな。
オイラは
アレスの役に立てると嬉しいんだ。





じゃ、
完成したら1つタックにあげるね。





何を作るんだ?





それはまだ秘密だよっ♪


さて、
それじゃ久しぶりに『アレ』を作ろうかな。
何もできない僕にとって、
唯一の特技ともいえるあの技術。
『芸は身を助く』という言葉があるけど、
それがこうして役に立つ時が
来たというわけだ!
次回へ続く……。
