・兄家にて・
・兄家にて・



最近、全く弟と遊べない





兄は悩んでいる





…おう





真顔で俺らに言われてもなぁ…





邪道、こういうのはどうなのだろうか?





どうといわれてもな…。思春期というほどにさえ大袈裟なものではないんじゃないか?





よほど仲の良い兄弟でもない限り、しょっちゅうは遊ばないだろ?





仲がいいと思っていたのだが…





兄の片思いだったのだろうか…





……う~ん、
十分仲良く見えるけどな、お前ら





仲良くなきゃ、休み時間のたんびに遊びにいかないし、弟もそれを許さないだろ





う、うむ…





なんだ兄?歯切れ悪いな





遊びに行くの、拒否られてるのか?





拒否はされていないのだが…





その、最近はいつも弟の周りに人がいてな





さすがに、入ってはいけないのだ





最後の最後って部分で空気読むんだよなぁ、兄って





しかし、このままでは距離は開く一方…





で、俺達に相談ってわけ?
俺一人っ子だぜ?





俺は姉貴がいるけど、お前らほどべったりじゃないし





あ~~っら、いらっしゃぁぁぁい!!





化け物っ!?





シンボルエンカウントっ!?





兄の姉でぇ~~っす!んふっ





ど、どうも…





…姉?





姉は下がっててくれ!





んもうなによう、挨拶くらい…





もういい、行こう





あ、兄!?





あーっと、お邪魔しました~





あら、いっちゃった。なあんて…。
もう弟ちゃん帰ってくる時間だもんね。あんな相談聞かれたくはないだろうし。上手い事いったかしらん





ふぃ~。お前の姉ちゃん、強烈だな!





兄…だよな?





兄だけど姉なんだ





そうか





世界って、難しいよな





姉はどうでもいいけど・・・
弟のこと、どうしよう…





しっかしなぁ…兄。
そんな恋する乙女じゃあるまいし…





…それだ!





へ?





それ?





兄の弟への思いってのはさ。
恋する乙女みたいなもんだ。こりゃあ、俺ら野郎が三人集まったところで、そもそもいい答えがでるわけねーよ





ということで、今から援軍呼ぼうぜ





まさかクマ…!





節垂か!





そういうこと!





ほっ!





てなわけで電話する。
ちょっと待っててくれ





もしもし、ああ節垂か?
兄がちょっと相談あってな、そうそう。
ははっ、察しがいいな。わかった。公園だな


ピッ!



OK!





はははっ、
あいつもお見通しっぽい感じだったな





頼もしい





ちょっと行ったとこにある、第一公園で待ち合わせってことにしたから、行こうぜ





おう!


・第一公園・



…





ここか、第一公園





はじめてきた





なんか、昔より遊具が減ったなー
寂しいもんだ





ノシ





しっかし節垂来ないなぁ。家の傍だからここに来てくれって言ってたんだけど





う~む…





おい、兄、邪道





ん?





どーした悪木





あれ見ろよ、あれ。すっげえイイ女!





どれどれ…へぇ~、なかなかに…





かわいい!





お、イイ女こっちに来るぜ?





なんだ?めっちゃ見られてるんだが





?





あにに、悪木、邪道!
お待たせー!





…あにに?





兄、知り合いか?





…いや?





ちょっとぉ!三人とも何無視決め込んでくれちゃってるわけー!?あんたらが呼びだしたのにマジありえないしぃ、みたいな!





…え?





その声…





も、もしかして…





節垂!?





節垂!?





節垂さん!?





へ? そうだけど?





何皆ハトマメな顔しててウケるー!





い、いやお前その顔!顔!





ほえっ?スッピンだよ





スッピン白っ!?





ま、マジかよ…。妹とかじゃなくて…?





そんな驚く事かなぁ?クマちゃんは一瞬でわかってくれたけどなー





野生の嗅覚!





う、うむ…
とりあえずだ。電話で話した通りの事だ





兄にアドバイスしてやって欲しくてな





おっけー。
うちの意見でいいならいくらでも!





へええ、弟さんとの距離が難しいってやつー





うん。でも、年頃だと、こんなものなのかもしれないって





悪木と邪道に言われて…





あににはそれで、納得?





…わからない





そっか





…





…





あににもさ、スッピンにしてみたら?





…えっ?





心をね、スッピンにするの





心を、スッピン?





そうだよ。弟くんのこと。
『年頃だから』とか『それが普通』ていう、邪魔なメイクは落としちゃいなよ





…





そうしたら、
心のスッピン見えてくるでしょ?





…うん





どうしたい?





弟と、遊びたい





うん





じゃあさ、自分の心がはっきりしたら、弟さんにそのまま伝えてみよう?





でも…





あにに、心のスッピンはなんにも怖い事じゃない。恥ずかしいことじゃあないんだよ





兄は…兄は、その





寂しいから、遊ぼう?って誘ってみよ。
それだけでいいの





…いいの、かな





遊ぼうって誘われたら、あにには嬉しい?





嬉しい





じゃあ、それでいいじゃん





…





それで、いいんだよ





うん





…どう思う?





さあな。でも…





うん?





兄はもう、ぼっちじゃねーし?
最悪 ダメでも、俺らがいるじゃん?





…そーだな。全くだ





がんばってね、あにに


次回予告!



弟、話がある





兄さん?


節垂のことばを胸に、兄はありのままの思いを抱き弟と向かい合う。
二人の気持ちは、思いは、笑顔は再び重なり合うことはあるのか。
次回、男子会
キズナ編
~お楽しみに~
