イザナギに日本を出て行くように言われたスサノオは、気が立っていた。
イザナギに日本を出て行くように言われたスサノオは、気が立っていた。



あームカつくムカつく ・ ・ ・
俺はただ母ちゃんに会いたいって言っただけじゃねーか ・ ・ ・ ・ ・ ・


スサノオがイライラしながら歩くと、周りの木々は腐り、空からは雷が落ちた。



でも、国から出るように言われちまったしなぁ ・ ・ ・
最後になるだろうから、アマテラスのネェちゃんに顔出してから行くか。


そう思い、スサノオは高天原(たかまがはら)の宮殿に向かって飛んだ。すると、今度は大地が大きな音を立てて揺れ動いた。
高天原の神殿にも雷のような轟音が響く。



な・・・なによ、この音??地震???


尋常ではない音に、アマテラスは身を構えた。
すると、オモヒカネが慌てた様子でアマテラスの部屋に飛び込んで来た。オモヒカネはフワフワしているタカミムスビの息子で、とても頭の良いインテリな神だ。



アマテラス、大変です!スサノオがものすごい剣幕でこちらに向かって来ています!!





なんですってっ!?
あのスサノオが来るなんて ・ ・ ・何か良くないことを考えてるに決まってる!!





まさか、私の国を攻めにっ!?
・ ・ ・ どうしよう ・ ・ ・ 高天原を守らなくちゃ ・ ・ ・ ・!!


アマテラスは慌てて武器庫に駆け込むと、髪を解き男性のようにミズラを結った。
そして、勾玉を連ねた長い髪飾りとブレスレットをお守りにつけ、さらに腕にも防具を装備すると、背には1000本、脇にも500本の矢を入れた。
日本初の男装だ。



よしっ!!


準備が整い表に出ると、スサノオはすぐそこまで来ていた。
アマテラスは威嚇して弓を振り、仁王立ちでスサノオを迎えた。雲が砂ぼこりのように舞い、なかなかの迫力だ。



スサノオ!それ以上、こっちに来ないで!!
あんた、何しに高天原まで来たのよっ!?





ネェちゃん ・ ・ ・
なんっちゅー格好を ・ ・ ・ ・ ・





お姉様って呼びなさいっっ!!





・ ・ ・ ・ ・ ・





あんた、あれだけ泣きじゃくって、みんなに迷惑かけてたくせに!!
今さら何しにきたわけっ!?


アマテラスの問いに、スサノオは不機嫌に答えた。



別にただ泣きじゃくってたわけじゃねーよ。俺は母ちゃんに会いたかっただけだ!





なのに父ちゃんがそんなことは
許さないって・・・





その腹いせに高天原を
奪いに来たってわけ??





違げぇよ!冷静になれよ ・ ・ ・ オネエサマ。
話になんねぇ。





私はあんたのことが信じられないの!悪意が無いなら証明してみせなさいよっ!!





っせーなぁ。わかったよ。
そんなに言うなら、誓約しようじゃねぇか。


誓約(うけい)とは、お互いに譲れないことがあった時に、どちらが正しいかを占うことだ。
賭けに勝った方が正しいことになる。2人は、生んだ神の性別でどちらが正しいかを占うことにした。



良いわ。
じゃあ、あんたの腰の剣をもらおうかしら。





あぁ、いいぜ。
俺はその勾玉をもらおう。


早速、アマテラスはスサノオの剣を受け取ると、バキボキと素手で3つに折りにし、井戸水で清め、口に含んでバリボリと噛み砕いた。
女子と言っても、さすが神。
そして『ふーっ』と吹き出すと、霧のような吐息の中から3人の女神が生まれてきた。宗像三女神と呼ばれる航海の神々だ。
また、スサノオもアマテラスの勾玉を井戸水で清め、口に含んでポリポリ砕いた。
そして『ふっっ!』と吹き出すと、今度はアメノオシホミミ、アメノホヒ、アマツヒコネ、イクツヒコネ、クマノクスビの5人の男神が生まれた。
このうち、長男のオシホミミは天皇家のご先祖様。次男のホヒは出雲国造家のご先祖様だ。
アマテラスは、生まれた神々を見ながらつぶやいた。



私の勾玉から生まれた5人の男神が私の子であんたの剣から生まれた3人の女神があんたの子 ・ ・ ・





フン!つまり、心優しい女子を生んだ俺に、高天原を攻める意思はなかったって証明できたわけだっ!!!!





ぃよっしゃぁーっっっ!!!!
俺の勝ちぃーーっっっ!!!!





えっ!?


アマテラスは、スサノオに言われるまで自分が負けたとは思っていなかった。
というのも普通、誓約をする際は、あらかじめ勝ち負けのルールを決めるのだが、今回それをすっかり忘れていたのだ。
しかし、スサノオの言う通り女子を生んだということは攻める気は無かったのだろうと納得した。



うぅん ・ ・ ・ そうね ・ ・ ・ ・ ・ ・
疑って悪かったわよ





だから言ったろ??
俺、まだ行き先が決まってねーんだ。しばらくここで世話になるからなっ!!





わかったわよ ・ ・ ・
でも、みんなに迷惑をかけないでよね。





おぅっ!!


しかし、ここでアマテラスがスサノオを受け入れてしまったことが、あの有名な事件を起こす引き金となってしまう ・ ・ ・ ・ ・ ・

おもしろいですー! 神様はこんな方法でも誕生しているのですね……! 更新ありがとうございます、次も楽しみにしています!
>村咲アリミエさま
いつも読んでいただいて、ありがとうございますっ!!
ポンポン生まれすぎて、そのうち数が数えきれなくなっちゃって「八百万の神々」って呼ばれるようになっちゃったんでしょうね〜www
アマテラスさん、さらっと500&1000本の矢装備してるけど、姿を想像するととんでもない重武装ですね....(笑)
流石神様、スケールが違う.....(^^;
ゆきやさま
ありがとうございます♪♪
艦これに実装してもらえるレベルかと(笑)
航空母艦「アマテラス」....
一体どれだけの艦載機を放てるのか想像もつきませんね....(笑)
もし現代兵器なんかで武装した日にゃ、とんでもない火力になること間違いなしですねw
神様って凄い.....(笑)
拓斗やぃさま
神話ですから(笑)