あかねと翔太は、校長と教頭を残して、教室を出た。はじめて二人で帰るその道は、いつもより輝いて見えた。



私の子供がいるだと?





はい。順調に育ってます。今、9ヶ月だからもうすぐ産まれます。





そんなバカな。私達は男同士だぞ。赤ちゃんが産まれるわけないだろう。





愛があればどんな障害も乗り越えられる・・・。そう言ったのはあなたですよ。





確かにそう言った。だが妊娠は物理的に無理だろう。それは想像妊娠ではないのか?





いいえ。ちゃんとレントゲンで撮りました。ちゃんと赤ん坊がいましたよ。





なんなんだ。その生き物は。怖すぎるだろ!





酷い。あなたと私の愛の結晶なのに。





あの。別に教頭が妊娠しても俺には関係ないんで。もう帰ってもいいですか?





だめだ。君は私と一緒に帰るんだ。私の家にね。





だから俺は男には興味がないって言ってるでしょ!





付き合ってみなければ本当の相性は分からないだろう。





あんたとは無理だって事は分かる!





もういい加減にして!!





あたし。初めての告白だったんだよ。ずっとずっと好きだった翔太に告白して、それも凄いイイ雰囲気で。





なのにあんた達二人がめちゃめちゃにしたのよ!オッサンが妊娠したとかそんな話どうでもいいのよ!





あ、あたしのはじめての告白。きっといい思い出になるはずだったのに、オッサンの妊娠話のインパクトで、全部消えちゃったじゃないの!!





それはすまなかったね。だが私だって真剣なんだ。真剣に校長を愛しているんだ。





だからあんた達は勝手に付き合ったらいいじゃない!よく分からないけど赤ちゃんもいるんでしょ?





校長!あんた教頭を妊娠させた責任取りなさい。それで全て解決するわ。





まだ私の子供だと決まったわけではないだろう。





ひどいっ。私はあなたにしか抱かれた事はないのに。





ふん。それは怪しいな。お前が、副校長に色目使ってたのを私が知らないとでも思ったか?





あっ!あれは・・・





なんかややこしくなってきたけど、よく考えたら俺は全く関係ないんで、もうホント帰りますよ。





うん。一緒に帰ろう。





お、おう


あかねと翔太は、校長と教頭を残して、教室を出た。はじめて二人で帰るその道は、いつもより輝いて見えた。
the end
