おんながイヤホンを耳から外した。
ずっとおとこは喋りつづけていたのだが、イヤホンに気が付いていなかった。
おんながイヤホンを耳から外した。
ずっとおとこは喋りつづけていたのだが、イヤホンに気が付いていなかった。



あたしもたまには誘惑されてみたいものだわ





じゃあオレがそれを請け負ってやろう





ヘイ、マイラヴァー。君の趣味はなんだい?





…………





そうね、音楽を聴いたりすることよ





3秒あげるからラップしてちょうだい





…………





ヨッ……ヨッ、ヨッ、チェケラッ





ヨッ……ヨッ、ヨッ、チェケラッ





ヨッ……ヨッ、ヨッ、チェケラッ





…………





…………





ヨッ……ヨッ、ヨッ





あたしCDの内側にジャケットを入れるバイトがあるから。じゃあね


おんなは帰った。影の薄い「阿部君」がおとこ と おんな の会話を聞いていたらしく。ぷるぷる震えている。
非常に居心地が悪そうなおとこ。



…………





…………





俺だってこの愛そりゃ相当!
これだってラブソングこれ本当!
漏れそう愛情、とうとうここまで!
してくてれいいぜ? もう、どうでも!


阿部君が、笑い転げていた。
どっかの六月に続くかもしんない。
